三重県松阪市の整形外科病院【あらおと整形クリニック】HOME整形外科の代表的な病気 > 肩こり・むち打ち症

肩こり・むち打ち症

いつまでも治らない頑固な「肩こり」や、
さまざまな傷病が複雑にからんで痛みを引き起こしている「むち打ち」。
単なる痛みと思っていても、その裏に違う病気が隠れている可能性もあります。
いつまでも治らない頑固な痛みがある方は、整形外科医にご相談ください。

肩こり

肩こりになりやすい生活習慣

 成人ならほとんどの人が経験する「肩こり」。首や肩が硬く張って痛む、だるいなどさまざまな症状があり、慢性的な肩こりに悩まされている方も多いはず。ひどい肩こりになると、日常生活にも支障が出てきて、かなり苦痛ですよね。
 でも子供のころはあまり肩がこらなかったはずです。その理由を、肩こりになりやすい生活習慣を見ることで考えてみましょう。

同じ姿勢を長時間続ける

 動かさないということは筋肉を休ませていると思いがちですが、そうではありません。一定の姿勢を保つためには、特定の部位の筋肉が常に緊張していなくてはいけません。つまり、常に筋肉が働き続けている状態なのです。
 とくに首は、重い頭を支えなくていけないため、もともと負担がかかりやすい場所です。デスクワークが主で、1日中パソコンに向かって同じ姿勢を続けている方などは、首・肩にかなりの負担がかかっているといえます。

姿勢が悪い

 体を後ろに反らせて座る、足を組むクセがあるなど、姿勢が悪いと肩や首に余計な負担がかかってしまいます。また、猫背の方も首の筋肉が硬直しやすいといえます。

精神的なストレス・緊張

 長時間緊張を強いられたり、ストレスがあったりすると、無意識のうちに肩に力が入って筋肉が硬くなってしまいます。急に寒くなると無意識に肩に力をいれてしまい、強い肩こりを生じてしまう方も大勢います。

肩こりが起こる仕組み

 筋肉・血管・神経などが複雑に絡み合い、痛みを起こす悪循環が生まれて、慢性的な肩こりが起こっているといわれています。その仕組みを簡単に説明すると以下のようになります。

(1)首や肩の筋肉が緊張して硬くなる。
(2)筋肉が緊張すると血管が圧迫されて血流障害が起こる。
    神経も圧迫される。
(3)血液の流れが悪くなると、筋肉に酸素が行き渡らなくなる。
(4)筋肉の酸素が不足すると、老廃物が溜まる。
(5)老廃物が神経を刺激し、痛みを感じさせる発痛物質がつくられる。
(6)痛み(こり)を感じ、また無意識に肩に力が入る。
   ↓↓↓↓↓↓↓↓
(1)首や肩の筋肉が緊張して硬くなる・・・・・
         
このように、悪いサイクルができあがってしまい、 いつも肩こりに悩まされると考えられています。

肩こりの治療方法は?

 消炎鎮痛剤の処方が行われます。強い炎症が起きているようであれば、ステロイドを使用する場合もあります。また当院では、症状がひどい場合には「トリガーポイント注射」も行っています。
 こうした薬物療法のほかに、マッサージ・牽引・温熱療法なども行っています。筋肉の柔軟性を高めて、血流や神経の働きを回復させるために、ストレッチなどの運動療法も効果的です。また、電磁波治療・低周波治療なども行っています。
 症状をくわしくお聞きして、ご本人と相談のうえ、最適な治療方法を探っていきます。

単なる肩こり? もしかしたら違う病気が隠れているかも!

 しかし肩こりのなかには、上記のような原因で起こっているはなく、頚椎などの疾患が隠れている場合があります。

■頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)

 いわゆる首のヘルニアです。椎間板が変形して飛び出してしまい、神経を圧迫して痛みが起こります。頚椎椎間板ヘルニアは、レントゲン・CT・MRIなどによって発見することができます。

■変形性頚椎症

 加齢やスポーツなどの外的な要因により、椎間板にずれが生じたり変形したりする場合があります。すると、次第にトゲのような骨「骨棘(こっきょく)」ができてしまい、これが神経を刺激して痛みを生じさせます。

■四十肩・五十肩

 肩関節周辺の筋肉や靭帯などが炎症を起こした状態で、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれています。肩が痛くて腕が上げられないなどの症状があります。

■脊髄の腫瘍

 まれに頚椎のなかを通っている脊髄に腫瘍ができて、首や肩の痛みが起こっている場合があります。また、腕のしびれめまいなどを感じることもあります。

■むち打ち症

 自動車事故やスポーツによる衝撃などによって起こる「むち打ち症」でも、肩こりに似た症状が現れます。むち打ちの多くは頚椎の捻挫ですが、なかには自律神経を損傷している場合などもあり、こうした場合には頭痛や吐き気などを伴います。

「肩の筋肉や血行などのケアを行っても、一向に肩こりが改善されない」
「だんだん肩こりがひどくなっている気がする」。
こんな場合は、病気が原因で肩こりが起こっている可能性があります。
放っておいても良くならず、適切な治療が必要です。
当院では、肩こりの診察・治療を積極的に行っていますので、
肩こりに悩まされている方は、ぜひ一度ご相談ください。

むち打ち症

むち打ち症とは?

 強い衝撃を受けて、首がムチを振ったときのようにしなると、首周辺のさまざまな組織が損傷されて「むち打ち症」になります。もっとも多いのは自動車事故によるものですが、フットボールや相撲、スノーボードなど、スポーツ時の激しい衝突によっても発生することがあります。むち打ち症と診断された方のうち、約93%の人は「完治」と診断されても辛い症状が続くといわれています。

むち打ち症のさまざまなタイプ

■頚椎捻挫型

 もっとも多いとされるのが「頚椎捻挫」。むち打ち全体の70%程度を占めているといわれています。その名のとおり首の捻挫で、頚椎を支えている靭帯を損傷した状態です。おもな症状は首や肩の痛みで、首が動かしにくくなる場合もあります。

■神経根損傷型

 脊髄から出ている神経の根元を損傷し、腕のしびれや痛みが発生するもの。

■脊髄損傷型

 頚椎のなかを走っている脊髄や、そこから伸びている神経が損傷された状態で、腕や脚にも痛みやしびれが現れます。

■後部交感神経症候群(バレー・リュウ症状)

 交感神経と副交感神経からなる自律神経が損傷して起こるといわれています。頭痛やめまい、吐き気・耳鳴り・難聴など「自律神経失調症」と似た症状が現れます。

■脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)

 脳脊髄液(一般的に「髄液」と呼ばれるもの)がクモ膜下腔から漏れることによって起こるとされています。頭痛やめまい・耳鳴り・倦怠感など、さまざまな症状が現れます。天候と気圧の関係で、症状が強く出ることがあります。交通事故や腰椎穿刺後の後遺症として、長く症状が出ていても原因不明といわれ、理解されることがありませんでした。近年注目が集まっています。

患者さまとともに、最適な治療方法を探します。

 こうした症状は、事故の直後には現れなかったのに、1週間ぐらいしてから現れることもあります。そして、しばしば長期化し、数年間も症状が続いてしまうこともあります。こうした症状は日常生活の妨げになり、とてもつらいものです。
 骨が明らかに骨折しているなどの場合は、レントゲンに写りますので、はっきりと原因がわかります。しかしむちうち症の場合、症状を起こす原因となっている損傷箇所が、はっきり特定されにくいため、より不安な気持ちになってしまいます。
 そのため、「被害者意識からくる思い込み」のせいとして片付けられてしまうこともあるようですが、私はそうは思いません。心と体は密接に関係していますので、むち打ち症でも、心理面でのケアを同時に行った方がよいケースもあります。しかし、すべてのむち打ち症の患者さんが、単なる思い込みだけで痛みやしびれが発生していると考えるのは、数多くの症例を見てきた経験からも、かえって無理があると思います。
 当院では、すぐに明確に損傷箇所が見つけられなかったとしても、患者さまと協力しあいながら、最適な治療方法を探していきたいと考えています。

むち打ち症の治療方法は?

 消炎鎮痛剤などの薬を処方し、痛みを抑えます。また首の安静を保つため、「頚椎カラー」などの装具療法を行います。頚椎カラーは、首を固定させるためのものですが、種類や高さなど、さまざまな種類があり、適切なカラーを選択するのが大切です。ただし、ずっと固定をし続けていると首の筋力が低下し、かえって治癒が遅くなる場合もありますので、固定と並行して、可動域回復・麻痺回復などのリハビリテーションを行います。リハビリテーションは、理学療法士・柔道整復士によるマッサージや、牽引・温熱療法・電磁波治療・低周波治療などの物理療法をおもに行っています。また、当院では鍼灸師による針治療も可能です(要予約)。

院長のひとりごと

 むち打ち症の場合、どんな治療方法が効果をあげるか、人によって大きく差があります。当院では、診断して「首を痛めていますね、はい、牽引しましょう。」という簡単なものではありません。もちろん診断書を書いてはいおわりというものでは、あってはならないと思います。むち打ち症はかならず治ります。前向きな気持ちで、ぜひ一緒に全快をめざしましょう!

専門外来 枕外来

三重県松阪市の整形外科病院。椎間板ヘルニア・ぎっくり腰について解説。